保険用語

約款・免責・免責金・損害賠償・分損・全損、自動車保険用語を説明

保険のことをわからない”、さらには〝保険が嫌い“という方の中には、用語の意味がわからない方もいらっしゃると思います。
自動車保険でよく使われる用語をいくつか紹介していきます。

保険用語

約款(やっかん)とは?

【約款(やっかん)】
① 契約・条約などの取決めの、一つ一つの条項
② いくつかの契約を定型的に処理するため、あらかじめ作成した契約条項。

約款(やっかん)を辞書で引くと、上記のよう記載されています。

この約款、自動車保険でいうと損害保険の各々の会社、保険の種類ごと作成している、保険の補償についての決まり事です。

パンフレットや重要事項説明書にも決まり事は記してありますが、さらに細かく記されているのが、約款です

保険会社と示談交渉をしたことのある方の中には、「約款に書いてありますから・・・」と冷たく対応された経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

約款は保険に契約している方の元に、代理店系の損害保険の場合は冊子で配布、ダイレクト系の損保であれば冊子、もしくはメールか何かで送られてきているはずです。細かい文字で読む気も無くなるカッチカチの文章なので、時間のある時に確認してみてください(笑)

免責(めんせき)とは?

約款同様、免責(めんせき)もあまり聞きなれない言葉ですよね。辞書で引くと、

  免責とは、普通なら負うべき責任を問わずに許すこと

普通なら負うべき責任を問わずに許すこと・・・・あまりピンとこないですね。

要は、免責とは責任を負わないことです。

免責とは、保険適用外という意味である

保険会社で使われる免責という言葉は、【保険会社が責任を負わない=保険で補償しない】ということになります。

自動車の任意保険の約款にも、この免責という言葉はよく使われます。

任意保険の車両保険・対物保険・対人保険等、どの項目にも免責事項という項目で記されています。

事故の際に、この免責事項に当てはまってしまうと、保険会社は責任を負いません、保険では補償できませんよ、という最悪の状態になってしまいます。

免責金(めんせききん)とは?

免責は、保険会社が責任を負わないと説明しました。
免責金というのは、設定している金額は保険会社が責任を負いませんということですね。

免責金というのは、自己負担金額と言えます。

免責金額を設定することで、保険料が安くなるというメリットも

任意保険には、車両保険や対物保険に任意で免責金額(自己負担金額)を設定できます。
尚、免責金を設定することで保険料が安くなるというメリットがあります。

任意保険会社や契約の内容によっては、免責金額を設定できないケース必ず免責金額を設定しなければいけないケースもあります。加入(予定)の保険会社へ確認ください。

保険を使用した場合の例

任意保険にて車両保険を付けていて、車両免責金額を設定したケースで説明します。

【保険期間】 平成29年1月1日~平成30年1月1日
【車両保険金額】100万円
【車両免責金額】10万円(1回目の事故は5万円、2回目以降は10万円自己負担)

  1. 保険期間内の平成29年2月1日に事故があり、自分の所有する車両の修理費が40万円。車両保険を使用した場合、1回目の事故なので自己負担は5万円となります。
    車両保険では、40万円‐5万円(車両免責金)=35万円が保険金(修理費)として支払われます。
  2. 保険期間内の平成29年12月1日に2回目の事故があり、自分の所有する所有の修理費が30万円。車両保険を使用した場合、2回目以降の事故なので、自己負担は10万円となります。車両保険では、30万円‐10万円(車両免責金)=20万円が保険金(修理費)として支払われます。

特にダイレクト系の損害保険会社ですと、パソコンから保険を申し込む際に、誤ったキーボード操作をしてしまったことに気づかず、免責金額の設定するつもりがなくとも免責金額が設定されてしまっているケースもあります。
免責金の設定については、ご自身の加入保険内容を確認してみてください。

損害賠償(そんがいばいしょう)とは?

損害賠償という言葉も保険以外ではあまり聞かれれない言葉だと思います。
辞書で引くと、こんな感じに出てきます。

損害賠償とは、他人に与えた損害を塡補 (てんぽ) し、損害がないのと同じ状態にすること。

そうですね、交通事故等で他人に与えてしまった損害を賠償することで、損害がないのと同じ状態にすることを言います。
しかし、実際の事故のケースでは、この損害賠償で非常に揉めることが多いのです。

例】他人の車に損害を与えてしまい、相手方が損傷した箇所を修理した。
損傷した箇所の修理費用と修理期間中の代車(レンタカー)費用が発生。

この場合ですと、
他人の車を傷つけた⇒損害(修理費・代車費用)を賠償⇒損害がなかった状態にする
これが流れというのは分かるかと思います。

実際に傷付けてしまった車が修理ができる状態であることが前提であり、且つ、修理をすることで相手方(被害者)が納得を頂ける場合は、損害を修理費用と代車費用と認定し賠償をしていくことで事故の解決を図ります。

モノの価値観は人それぞれ

損害賠償とは、損害がないのと同じ状態にすることとありますが、人によって損害がない状態への価値観って違いますよね。

この価値観の違いが損害賠償で多々揉めてしまう原因にもなります。

事故にあった車の損傷個所を修理したケースでも、損傷個所が綺麗になればそれで良いという方もいます。

しかし、修理して綺麗になった場合でも、今回事故で事故車扱いになり価値が下がってしまう、事故処理・事故対応・車の搬送等にかかった手間はどうしてくれるんだ等々、お話を頂くこともあります。

損害賠償とは、できるだけ元の状態に近づけ補償すること

私は、損害がない状態にすることは不可能であると考えています。あくまで、私の個人的な意見です。

損害に遭った車にしても、物にしても、人それぞれ思い入れの違いがあります。価値観も人それぞれ違います。

ですので、損害賠償とは、損害がなかった状態にできるだけ近づけ補償することであると私は考えています。

分損(ぶんそん)とは?全損(ぜんそん)とは?

分損・全損という言葉も、損害保険での用語の為、日常ではあまり耳にしませんよね。

私は分損・全損は保険では対極の関係であると考えています。

分損・全損の意味は下記の通りです。

  • 分損・・・補償対象物の価値に対して価値を下回る一部の損害
  • 全損・・・補償対象物の価値に対して価値を上回る損害

現在の価値を元に考え、復旧可能かどうかということがポイントです。

損害賠償の世界では、物は現在の価値(時価)がすべてであり、その価値まで補償すれば損害賠償上問題ない、と判断されます。

現在の物の価値(時価)の算出方法

保険会社では、物の価値(時価)を算出する際参考書見(レッドブック)の確認と現在の市場での価値を調査した上で金額を算出し、物の所有者の方へ時価額をお伝えします。

きちんと調査した上での金額であり、いい加減に金額を算出している訳ではありません。

自動車の価値は、自動車の価値を公平に見定める為、【車種、グレード、型式、年式、走行距離、車検残】等から算出される。

とはいっても、物の価値観は皆違いますし、事故の被害にあった方は感情的にもなっていますので、「保険会社が提示してきた金額が安すぎる」とか「そんな金額では新しい車が買えない」等々、なかなかご理解頂けないケースも多々あります・・・。

しかし、形あるものは、価値が下がります。所有者の方には愛着のある車でも、他人にはそうでもないからです。

あなた自身がもし「車に損害受けた被害者で、全損(価値を上回る損害)認定をされてしまった」時には保険会社の提示してきた時価に納得できない場合は、まずご自身でも現在の車の価値を確認してみてください。

・カーディーラーや車屋さんに、現在の車の価値についてどの程度が妥当であるかを確認してもらう。
・インターネット等で中古車市場(グーネットカーセンサー)を参考に、現在どの程度の金額で取引されているかを確認する。

あなたにとっていくら大切なものであっても、あくまでも保険会社は市場の価値で算出します。あなたの価値とは比べ物にならないくらい低い価格を提示してくるかもしれません。

こういった時に、ご自身の車を守る保険である【車両保険】が力を発揮します

車両保険を付けると補償内容によっては、倍近い高額の保険料になるというデメリットはありますが、車両保険にて補償を受けることで、スムーズに話が進む場合もありますので、車両保険を付けるメリットは高いものであるとも言えます。

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